Fig.6 shoreline position simulation on the Amanohashidate Coast
砂量8,000m3/yrになると汀線が今以上に前進し、人工漁礁に影響が及ぶと同時に一部のガラモ場の消滅が懸念される。?バイパス砂として確保できる砂量は約4,000m3/yrである。以上の?〜?の結果より、バイパス砂量は4,000m3/yrとし、投入位置は突堤No.1〜6として毎年投入することを決定した。
第3の問題については、沿岸漂砂の終着点となる天橋立海岸の南端部に貯砂施設を設置し、その堆積砂をバイパス砂としてリサイクルするという天橋立海岸におけるサンドバイパス工法の一連の流れを確立させた。図-7に天橋立海岸におけるサンドパイパス工法の概念図を示す。サンドパイパス工法の導入により、汀線は前進し、沿岸漂砂の連続性が確保された。その結果、大天橋末端部の突堤から砂が流出し、水路側に堆積するようになった。この砂の堆積により、水路埋没の危険性が指摘され、京都府は水路維持ならびにリサイクル砂の確保を目的として1987年より浚渫を行っている。本来この砂は小天橋に供給されるべき砂であった。大天橋同様侵食が進んでいた小天橋に対しては、1988年から1990年にかけて浚渫砂を用いた直接投入による養浜を実施し、経過観測を行っている。現在の追跡調査では、小天橋の汀線は安定しており、人為的なバイパスの必要性はほとんどないと判断される。
以上のことから、バイパス砂の主たる供給源を大天橋末端部における浚渫砂とし、この砂に日置および江尻における港湾施設周辺で浚渫した砂を補充してリサイクル砂として年1回大天橋の付け根部に投入するというサンドバイパスの一連のシステムを策定した。
3-3. 天橋立海岸におけるサンドバイパス工法導入の効果
図-8に現在の天橋立海岸の姿を示す。京都府が1986年から本格的にサンドパイパス工法を導入したことにより、突堤間に形成された養浜群は、既に動的に安定な海浜群に極めて近い状態にまでなっている。これは、突堤工法、養浜工法およびサンドパイパス工法の3つの工法が複合した海岸侵食制御による効果と思慮される。
京都府は、サンドパイパス工法の効果ならびに実施方策の妥当性を検証する目的で、1986年の事業開始と同時に今日まで精度の高い汀線・深浅測量による追跡調査を年2回実施している。その結果、汀線位置およびその形状は安定していることを確認し、天橋立海岸におけるサンドパイバイパス事業の侵食対策面からの評価効果を続けている。
一方、サンドバイパス実施にともなう現地生態・環境
Fig.7 Sand bypassing method on the Amanohashidate Coast
Fig.8 The present Amanohashidate Coast
前ページ 目次へ 次ページ
|
|